HOME > 咢堂塾 > 咢堂ブックオブザイヤー2018

  
尾崎財団が選んだ「今年の本」。いずれも財団書庫(咢堂文庫)でお読み頂けます。

咢堂ブックオブザイヤー2018

当財団では2014年より、憲政および国政・地方自治や選挙などに関するすぐれた書籍を顕彰する「ブックオブザイヤー」を制定し、今年で5回目になります。
選考には以下の4つの基準を設けています。

1.2018年の著作であること
2.スタッフおよび選者が実際に自費購入し、購入者の視点で推薦できる書籍であること
3.政治全般(国政および地方自治、選挙や演説など)において、すぐれた著作であること
4.その他、上記の該当に関わらず、授賞にふさわしいと判断されたもの

 本年は以下の作品に賞を贈る運びとなりました。
 2018年の選考および授賞理由についてはこちらをクリックください。

LinkIconPRESS RELEASE「咢堂ブックオザイヤー2018の発表について」

大賞(部門別/順不同)

総合
平成の政治(御厨貴、芹川洋一)
国政
政策至上主義(石破茂)
足立無双の逆襲(足立康史)
地方
ビレッジプライド(寺本英仁)
選挙
演説
安倍晋三の真実(谷口智彦)
メディア
ファクトチェックとは何か(立岩陽一郎、楊井人文)
平成政権史(芹川洋一)

平成の政治

平成の政治

編著者:御厨貴、芹川洋一
発行:2018年11月22日
出版社:日本経済新聞出版社
【出版社サイトより】平成という時代を振り返るとき、日本の政治をどうとらえればいいのか――。オーラルヒストリーの第一人者である政治学者と長く政治取材の経験を重ねたジャーナリストが、3人の論者を招いて考える。
50年以上にわたり、日本政治を研究してきたコロンビア大学のジェラルド・カーティス名誉教授、経済財政相として、またエコノミストとして日本の政治をに深く関わってきた政策研究大学院大学の大田弘子教授、政治学者として活躍ののち、地方自治の現役責任者に転じた熊本県の蒲島郁夫知事――。外の目、内の目、地方からの目……。さまざまな視座を持つ論者に、碩学の聞き手が鋭く迫る。

政策至上主義

政策至上主義

著者:石破茂
発行:2018年7月20日
出版社:新潮社
【出版社サイトより】「政治家の仕事は、勇気と真心をもって真実を語ることだ」――この言葉を座右の銘としてきた著者は、国会議員ができることは突き詰めて言えば一つだという。課題解決のプラン、すなわち政策を考え、実行していくことしかない、と。自立精神旺盛で、かつ持続的な発展を遂げられる国をつくる政策とは何か。政治家はどう国民と向き合い、それを語るべきなのか。ひたすら政策を磨き続けてきた政治家からの熱きメッセージ。

足立無双の逆襲

足立無双の逆襲

著者:足立康史
発行:2018年6月14日
出版社:悟空出版
【出版社サイトより】度重なる懲罰動議にもメゲず本音で勝負する代議士が、不毛な質疑を続けるアホばか野党とその顔色を窺う与党を徹底糾弾。

ビレッジプライド

ビレッジプライド

著者:寺本英仁
発行:2018年11月21日
出版社:ブックマン社
【出版社サイトより】話題のスーパー公務員、初の著書! 高齢化率43%、過疎でジリ貧の町が 「食」と「農」で生まれ変わった!
「俺の町は田舎だから、夢も仕事もない」と思っているすべての人へ。それは違うよ。ないのは、あなたのアイデアとプライドだ!

凡人のための地域再生入門

凡人のための地域再生入門

著者:木下斉
発行:2018年11月15日
出版社:ダイヤモンド社
【出版社サイトより】札幌・盛岡・女川・山形・福井・甲府・熱海・勝川・城崎・小倉・長崎・熊本・鹿児島 全国各地で「未経験者」400名超が実践してきた事業立ち上げ・拡大のノウハウが、ストーリーで一気にわかる! 住民の嫉妬・仲間割れ・補助金の甘い誘惑など誰もが陥る罠の避け方までこれ一冊!

ドキュメント 候補者たちの闘争

ドキュメント 候補者たちの闘争

著者:井戸まさえ
発行:2018年12月13日
出版社:岩波書店
【出版社サイトより】人はどのようにして政治家になるのか?その第一歩が「候補者」になることだ.並んだポスターの向こうにある不可視の選別,「候補者になるための闘争」を自ら体験した著者による,代表制の根幹をなす選挙の実相.当事者たちの絶望や恍惚,天国と地獄の入口が,蜃気楼のように消えては現れる景色から,日本政治の宿痾が見えてくる.

地方選挙 必勝の手引

地方選挙 必勝の手引

著者:松田馨
発行:2018年11月13日
出版社:選挙の友出版
【出版社サイトより】選挙プランナー歴12年の実績から導きだした選挙必勝法を徹底解説。地上戦から空中戦、ネット選挙対策はもちろん、最新の公職選挙法改正への対応や、よくある違反事例の解説、政治団体の設立から選挙後の収支報告書の作成まで、フルカラー292ページに渡り解説した充実の内容。今までありそうでなかった選挙マニュアル本の決定版!

枝野幸男、魂の3時間大演説

枝野幸男、魂の3時間大演説

著者:枝野幸男
発行:2018年8月10日
出版社:扶桑社
【出版社サイトより】枝野による内閣不信任案趣旨説明演説は、2時間43分の長きにわたった。この演説時間の長さは、記録が残る1972年以降で、衆院最長記録だという。しかしこの演説の特色は演説時間の長さにあるのではない。この演説の特色は、その内容にこそあるのだ。本書は、その演説の書き起こしを、上西充子・法政大教授と田中信一郎・千葉商科大学特別客員准教授による解説とともに完全収録したものである。

安倍晋三の真実

安倍晋三の真実

著者:谷口智彦
発行:2018年8月5日
出版社:悟空出版
【出版社サイトより】総理の外交スピーチライターだから書けた安倍晋三の〝ほんとうの姿〟と激動の官邸舞台裏。今初めて明かされた感動の書!
まえがき――チャーチルの言葉
第一章 官邸4階から見た安倍総理
第二章 ボスのためなら、たとえ火の中、水の中!
第三章 見えてきた日本の新しい姿
第四章 世界を唸らせる安倍外交
あとがき――ジャネット・リンのLP

ファクトチェックとは何か

ファクトチェックとは何か

著者:立岩陽一郎、楊井人文
発行:2018年4月5日
出版社:岩波書店
【出版社サイトより】「ポスト・トゥルース」が指摘される時代.意図的/非意図的に流通されるニュース・言説の「ファクト」を客観的に検証することが急務である.そのジャーナリズムの新たな手法が「ファクトチェック」であり,ウソの情報によって分断や拒絶が深まることを避け,事実を積み上げることで民主主義の力を底上げする.日本初の概説書.

平成政権史

平成政権歴史

著者:芹川洋一
発行:2018年11月8日
出版社:日本経済新聞出版社
【出版社サイトより】まもなく平成が終わろうとしている。経済の長期低迷、戦争やテロ、度重なる大災害……激動の30年間、日本の政治は何をしたのか。
長年にわたり取材を経験したジャーナリストが、自身が当時執筆した記事も引用しつつ、歴代内閣の足跡を振り返り、政治の本質に迫る。
私たちが生きた平成という時代は何だったのか、そして、これから日本はどこへ向かうのか。過去に学び、未来を展望するために必読の一冊。

特別賞(順不同)

特別賞
侵略に気づいていない日本人(ペマ・ギャルポ)
ホモ・デウス(ユヴァル・ノア・ハラリ著、柴田裕之訳)
議会学(向大野新治)
移民政策のフロンティア(移民政策学会)
(ジェームズ・ヒュームズ著、寺尾まち子訳)

侵略に気づいていない日本人

侵略に気づいていない日本人

著者:ペマ・ギャルポ
発行:2018年2月15日
出版社:ハート出版
【出版社サイトより】チベットには、心から平和を祈る人々は僧侶をはじめたくさんいた。しかし中国は、そんなチベット人を無慈悲にも、大量に虐殺したのだ。侵略の実態を知るチベット人には、「平和憲法を守れ」という声は、他民族による支配の現実を知らない人の戯言にしか聞こえない。
「日本人には絶対に同じ悲劇を繰り返してほしくない」本書には、祖国を失ったチベット人の願いが込められている。

ホモ・デウス

ホモ・デウス

著者:ユヴァル・ノア・ハラリ
訳者:柴田裕之
発行:2018年9月30日
出版社:河出書房新社
【出版社サイトより】我々は不死と幸福、神性をめざし、ホモ・デウス(神のヒト)へと自らをアップグレードする。そのとき、格差は想像を絶するものとなる。35カ国以上で400万部突破の世界的ベストセラー!

議会学

議会学

著者:向大野新治
発行:2018年4月16日
出版社:吉田書店
【出版社サイトより】国会のあるべき姿とは――。その仕組み・由来から諸外国との比較まで、現役の衆院事務総長が詳述する。

移民政策のフロンティア

移民政策のフロンティア

編著者:移民政策学会
発行:2018年3月31日
出版社:明石書店
【出版社サイトより】外国人居住者数・外国人労働者数が共に過去最高を更新し続けているなかでも、日本には移民に対する包括的な政策理念が存在していない。移民政策学会設立10周年を記念し、第一線の研究者らが日本における移民政策の展開、外国人との共生について多面的、網羅的に問い直した書。

リンカーンのように立ち、チャーチルのように語れ

リンカーンのように立ち、チャーチルのように語れ

著者:ジェームズ・ヒュームズ
訳者:寺尾まち子
発行:2018年2月3日
出版社:海と月社
【出版社サイトより】歴代4人ものアメリカ大統領のスピーチライターを務めた著者が直伝。アメリカで15年以上読み継がれているスピーチテキストの名著、待望の翻訳!
会議・講演・交渉・営業・プレゼン…あらゆるビジネスシーンで最高のスピーチをするために必読の書。
テクニックその1は「沈黙」

2018年の選考および授賞理由について

尾崎財団が主宰するリーダー育成塾「咢堂塾」によるブックオブザイヤー2018。2014年の創設から5回目となる今回の選考は、咢堂塾ならびに当財団が関心を寄せる分野を中心とするほか、世相を反映した提言となりうる事を基準に行われました。

2018年という年を振り返るうえで欠かせないキーワードが、現在の元号「平成」です。本年は実質的な平成締めくくりの年でもあり、30年に渡る時代がどのようなものであったか、そしてわが国の未来はどこに向かうのか。そうした「過去と未来の結節点」が選考においても重要なファクターとなりました。本年のブックオブザイヤーは6つの分野ごとに優れた書籍に注目し、その中でも特に優れた作品に賞を贈ることと致しました。

平成の政治」は、御厨貴・東京大学名誉教授と日本経済新聞論説フェロー・芹川洋一氏による政治課題の総括や評価が単なる回顧にとどまらず、次代への提言が充実していた点と、鼎談形式による捉え方のバランスが高い評価を受けました。
長年に渡りわが国の政治システムを研究してきたジェラルド・カーティス米コロンビア大学名誉教授、内閣府特命担当大臣として政策決定プロセスにも深く関わった大田弘子・政策研究大学院大学教授、現在も被災復興の現場で陣頭指揮をとる蒲島郁夫・熊本県知事らを迎えての鼎談は質量ともに充実し、選者からも「願わくば、鼎談の場に居合わせたかった」との意見が相次ぎました。平成最後のブックオブザイヤー選定を総括する上でも申し分ないとの評価から、総合部門大賞の授賞となりました。

国政部門大賞の「政策至上主義」「足立無双の逆襲」は、現職の国会議員が各々の持論を書籍という形で問う姿勢がそれぞれ高く評価されました。
石破茂・衆議院議員の「政策至上主義」は、昭和の終盤から平成期を通して30年以上にわたり国政に携わった著者ならではの論考と、批判を恐れず一貫して丁寧な説明を旨とする姿勢が注目を集めました。特に192頁は多くの人にお読みいただきたい箇所です。
足立康史・衆議院議員の「足立無双の逆襲」は昨年に続き二度目の授賞ですが、政策論としての「わが国の在り方」を正面からわかりやすく論じた点が評価されました。特に第5章から第7章は、著者の「闊達な政策論争の渇望」が強く感じられました。前作からの継承となる挑発的な副題は、もはや必要ないかも知れません。

地方部門大賞の「ビレッジプライド」は、地方創生のあり方を考える上で貴重な示唆に満ち溢れていました。一般的に町おこしといえば特産品の有無や交通の便など地の利が左右すると思われがちですが、同書では一番の鍵を、その地域に住まう人々が本来持っている「誇り」であると言い切っています。決して特別な地域の、特別な人の成功譚ではない。そうした普遍性が評価されました。
凡人のための地域再生入門」は、小説形式での入りやすさと充実した解説、章ごとのコラムなど、地域再生のプロセスを体系的に学ぶことのできる「実践可能性の高さ」が選考メンバーの共感を得ました。両者とも共通するのは、当事者(著者あるいは主人公)の「迷い」と、それを打ち消した「覚悟」でした。おそらく書籍を手にする人の中で「迷い」を感じぬ人はいないのではないか。だからこそ読者と共に悩み、それでも立ちあがろうと覚悟を決めた人にとっての心強い味方になり得る本である。共にそう感じさせるものでした。


選挙部門大賞の「ドキュメント 候補者たちの闘争」は今回の受賞作品の中でもっとも最新の書籍です。県議会議員や衆議院議員をつとめた著者が、実際に候補者として経験した2017年の解散総選挙。その実態を生々しく、かつきわめて理性的かつ精緻に描ききった筆力と視点が高い評価を集めました。選挙直前に民進党が立憲民主党と希望の党に分裂した経緯を活写した点は、平成最後の国政選挙を語る上でも貴重な記録です。選者の一人は「マックス・ヴェーバーの『職業としての政治』に比肩する傑作」と断言しました。
地方選挙 必勝の手引」は、著者の選挙プランナーとして積み重ねてきた12年に渡る経験が余すところなく凝縮された、候補者向けの実践ガイドです。今回の授賞作品の中でもっとも高額な書籍(唯一の1万円超)でもありますが、来たる統一地方選に挑む方は、新人や現職を問わず、多くのノウハウを得られる内容であると断言できる一冊です。事務所や車両、配布物などにコストを投じる以上の効果が得られるでしょう。知識の対価としては決して高くない、選挙経験を持つ選者からはそうした声が上がりました。


演説部門大賞の「枝野幸男、魂の3時間大演説」は、立憲民主党の枝野幸男代表が7月20日に行った演説の文字起こしに、用語の注釈と解説を加えた異例の書籍です。演説が書籍化された事例は伊藤博文や大隈重信、尾崎行雄が活躍した戦前にも見られましたが、現行憲法下においては国会議員の演説がこれほど注目を集めたことはありませんでした。政治家にとっての演説、そして言論がもつ意味を改めて議場の内外に広く示した事実は、おそらく後世の憲政史にも残ることでしょう。
安倍晋三の真実」は、内閣官房参与として内閣総理大臣の外交スピーチを手掛ける著者が綴った興味深い一冊です。いまや国際政治の舞台においてもベテランの域に達した安倍首相、その言葉を共に紡いできた著者だからこそ知り得る舞台裏は、インターネット検索では決して得られない、貴重な時代の証言でもあります。書籍を手にし、ページをめくることで初めて見えてくる宰相の横顔は、書籍媒体の可能性を大いに再認識させるものでした。


メディア部門大賞の「ファクトチェックとは何か」は、わが国における初のファクトチェック入門書籍です。同書ではその本義を「フェイクニュース」の真偽判定ではなく、「まず予断(思い込み)や主観を排して、本当に事実であるかを虚心坦懐にかつフェアに探求する」ことであると位置づけています。咢堂・尾崎行雄が主張し続けた「誰が正しいかでなく、何が正しいか」にも通じる同書のテーマは、尾崎財団としても大いに注目すべき本であるとの意見が相次ぎました。
平成政権史」は総合部門大賞「平成の政治」の共編者でもある芹川洋一・日本経済新聞論説フェローによる単著です。平成の歴代内閣の特徴をとらえた意欲的な作品でもあると同時に、署名記事や顕名の著作に対する責任感が選者の支持を集めました。「今日からみると、ややずれているところがあるのは否定できない。ただそのころの空気を知ってもらうには恥をしのぶしかないとも考えた」「20年後、孫たちが成人しても恥ずかしくない記事を書かねばならないと改めて思った」とは同書あとがきの引用ですが、こうした姿勢は高く評価したいと素直に思わせるものでした。


また、各部門の大賞以外でも尾崎財団、そして咢堂塾として大いに注目した書籍には特別賞を贈ることと致しました。

侵略に気づいていない日本人」は、日本人以上にわが国の美点や課題が見える著者ならではの「国家のあり方」が高く評価されました。難民を助ける会の創設者でもある尾崎三女・相馬雪香が生涯をかけて取り組んだ難民問題にも言及され、特に224頁の「日本は難民をどううけいれるべきなのか」は、当事者としての思いが込められています。

ホモ・デウス」は政治という枠組みを超え、国境や信仰を越えた広い尺度での「おそらく人類にとって、最大かつ最後のテーマ」を提示した点が評価を集めました。決して平易な内容ではありませんが、ある選者は「これは、百年先の政治課題を語った本である」と絶賛しました。大いに知的好奇心を刺激する二冊です(同書は上・下巻の二分冊)。

議会学」は、現職の衆議院事務総長でもある著者が「現代政治の、ありのままの実相」を広く知っていただくことを願って書かれた、集大成ともいえる一冊です。衆議院議長による議事進行を補佐する立場でもある著者、その目に映る議会もやはり「著者だからこそ見える景色」であり、書籍媒体ならではの貴重な記録です。中でも38頁目からの「政(まつりごと)とは」と題された項は、すべての議会人に読んでいただきたい「政治のあるべき姿」、そして議会の真髄が凝縮されています。

移民政策のフロンティア」は、先の第197回国会でも一番の争点となった出入国管理法と、その改正を考える上でも貴重な書籍です。同書は移民政策学会(会長・近藤敦:名城大学教授)による設立10周年の記念論集ですが、入管法や移民の問題が単なる経済や就労の問題ばかりでなく、地方自治や教育、地域社会など広範囲な分野にまたがる政治課題であることを提示しています。国会での議論もさることながら、それを報じるメディアにも、そして最終的な当事者である私たち一人ひとりも関心を寄せたい一冊です。

リンカーンのように立ち、チャーチルのように語れ」は、今年も数多く出版されたスピーチ指南書籍の中でも、もっとも実践的かつリファレンスとしても役に立つ一冊として評価を集めました。尾崎財団としても数多くの翻訳書籍やスピーチ指導書に触れて来ましたが、その中でも「日本人の感性にフィットする」「実際に、議会質問でも参考になった」なとの意見も挙げられました。選者の一人は「実際に演説原稿の執筆や、配布レポートにも引用させていただいた」そんなリアルな感想も寄せられました。

各部門の授賞作ですが、国政部門では生粋の党人と官僚出身、地方部門では役人と民間人、選挙部門では挑戦者とそれを支える伴走者という好対照が見られました。
演説部門でも野党第一党の代表と与党内閣のトップの姿が、メディア部門においても評価する側とされる側といった具合に分かれ、図らずも比較すること自体が興味深い結果となりました。
そして特別賞では政策課題や洋の東西、各部門大賞との関連性など、互いに読み比べることでそれぞれの書籍の良さが際立ったことも、今回の選考結果として特徴的なものでした。選考結果をご覧の皆様にも、この一年、そして平成という時代を振り返る材料を提供できるのではと感じています。

今回のノミネート作品はいずれも例年以上の力作・良作が並び、選考委員会にとっても実に悩ましいものでありました。そうした中で選び抜かれた各作品は、いずれもそれぞれの分野において一人でも多くの方に読まれて欲しい、皆様にとっても最高の「ブックオブザイヤー」になるでしょう。
ここに私たち尾崎行雄記念財団、そして咢堂塾は自信を持って、各授賞作品を「咢堂ブックオブザイヤー2018」に選定し、皆様にお奨めいたします。
2018年という実質的な「平成の節目」を振り返り、また新たな元号を迎えるにあたっての指標として是非とも注目いただき、各書の魅力に触れて頂けることを願ってやみません。


以上文責・高橋大輔(尾崎行雄記念財団研究員・IT統括ディレクター)

咢堂ブックオブザイヤー2018